同行二人

何もする気がわかない、自分の人生に意味が感じられない。
あるいは、
たくさんお金を得たのに、人もうらやむ学歴を得たのに、人と比較すること、優越することでしか自分を確かめることができない。
 両者は表裏が違うだけで、虚しくなる点で何も変わりがない。

例えば、自分の本当の気持ちを欺いて、恋人や上司に愛されようと(他者評価に依存)する、
例えば、自分のことは棚に上げて他人を誹謗中傷する。
その時は大事にされても、他人を貶めることに成功しても、
喜ぶのもつかの間、すぐに次の不安や怒りが襲ってくる。
両者は安心感がない点で何も変わりがない。

そんな自分に、虚しさを覚えたら、孤独を感じたら、好きになれないと感じたら、
その敏感さを「弱さだ」と決めつけないで、一度立ち止まってほしい。

本当にこのまま人生が終わって良いのか。
 自分に問いかけてみてほしい。

我々精神科医は、あなたに代わって治してあげることはできない。あなたに代わって歩くこともできない。
だがどうすればよい方向に進んでいけるか、その道(地図)を提示することはできる。
共に歩くことはできる。
「同行二人」。

我々の有限な人生。
そんな出会いをしたいと切に願っています。